物語

映画

物語「いのちのまつり」

いのちのまつり

はじめに

世の中が揺れています。政治、経済、環境、教育・・・、様々な分野で行き詰まっています。
そして世の中を覆う閉塞感。勝ち組、負け組といった安直な価値観。豊かになったはずの日本で、「しあわせ」や「当たり前」が何かということが、どんどん不透明になっています。
こうした状況は、「中心」を見失った結果ではないかと考えています。
では中心とはいったい何でしょう。
私の考えでは、「いのちをつなぐこと」、そしてそれを自覚することです。
いのちをよりよく発展、継続させるために、政治も経済も教育もあるのではないでしょうか。
ところが、今や、それが逆転してしまっている。
いのちを中心に据えて、取り組むことがなされていない。人間ばかりではなく、
すべてのいのちというものが、政治や経済の道具としてしか扱われていないように感じます。
どれほどの大人が、何のために生きるのか、何のために学ぶのか、
何のために働くのかという問いかけに、明確な答えを出せるでしょうか。
アメリカ的に表現すると、自己実現や成功哲学になるのかも知れません。
しかし、それは、名誉や地位やお金といった目に見えるだけの夢物語であり、
個人の「目的」に過ぎません。 そして、目的は個々の、そして時々の価値観によって変わってきます。揺らいできます。

草場一壽 作業イメージ

絵本「いのちのまつり」の広がり

絵本「いのちのまつり~ヌチヌグスージ~」が全国出版されたのが2004年のことです。当初は、自費出版というかたちで、限られた方々にしか読んでいただけなかったこの本がサンマーク出版さんの目に止まり、全国発売されてから瞬く間に版を重ね、発行部数は30万部を超えました。いまでは小学校の道徳で副読本とされる他、海外数カ国での出版までに至り、正直、私自身も驚いております。
その後、「いのちのまつり」シリーズとして、2007年に「つながっている!」2010年に「おかげさま」、2012年に「幸せを売る男」、2013年に「かがやいている」、2015年に「みらいへ」を刊行いたしました。
いずれも、テーマは「いのち」です。 多くのみなさまに読まれ、著者としてこれほど幸福なことはありませんが、一方で、現在、いのちの教育がいかに必要であるかという証ではないかとも思います。

絵本読み聞かせ風景

「いのちのまつり」が伝えること

そして、そういうことに気づいた人たちが確実に増えつつあるというのも実感です。いのちは私物化できるようなものではありません。私ひとりのものと考えるのは、ある意味で傲慢です。
あらゆる種と、途方もない歴史をともに旅して、ここにたどり着いたいのち、それをよりよく次につなげていくのが、生きる者の役割です。
そして、大人である私たちは、いのちが祖末に扱われやすい、壊れやすい現在に、「いのち」の本質はなんであるかと、子どもたちに伝える役目を果たさねばなりません。
いのちについて語ること、それは、いま大人が真っ先にすべき時代でもあります。
人生で出会ったすべてのかけがえのない人たちに改めてお礼を述べたいと思います。
いのちの壮大な歴史をくぐり、世界中に何十億といる人々の中で出会ったのですから、出会いひとつにも奇跡が用意されていたとしか考えようがありません。
いえ、いまここに私が存在することすら、
気が遠くなるほど長い歳月をかけたいのちの奇跡そのものです。